日本の化粧品市場の流通は世界でもトップクラスと言われており、どこでも手軽に購入でき、価格も安価なものが多く販売しています。
流通している製品の多くは石油などからできる合成化学成分が主体で作られる化粧品で、それらは市場の9割以上を占め、さらに日本の大手化粧品メーカーは、今後アジアを中心とした海外に向けての化粧品生産に力をいれ、400億円を投じて国内に新工場を建設するという。
広がるオーガニック化粧品
今、一般消費者の間ではオーガニック化粧品というものが注目されています。
化粧品は様々な合成化学成分をふんだんに使用しています。
過剰な使い方や間違った選択により、化粧品でアレルギーを起こす人がどんどん増えています。皮膚科に飛び込んでも肌の不調を改善できず、その結果オーガニックという分野の化粧品に興味を持つ人が多いようです。
多くの方はオーガニックというと自然のイメージが先行するのでしょうが、たとえオーガニック認証を持っている化粧品だとしても消して肌に優しいとうたうものではありません。基本的には一般の化粧品同様、自分に合った製品を選ぶことは大切となります。
オーガニック化粧品の本質は簡単に言えば「人や環境に配慮しているもの」という事であり、余計なものをからだに取り込まないという事や、環境ホルモンへの影響がないこと、生分解しない成分などは使用しないなどのルールの中で作られている製品となります。
ただ、一つ言えることは、オーガニック化粧品を自分に合わせてうまく選び、肌の状態に合わせて上手な保湿バランスを補った時、見違えるような変化を見せることがあります。
まさにこれは自然の力。素晴らしい効果を感じることができるのです。
人をホリスティックに考えたとき、化粧品の配合成分が肌を通して余計なものを取り込まない原料で構成されているなら、それはオーガニックを選択する価値があると思っています。
今なぜ、オーガニック化粧品が支持されるのか?
私がこのオーガニックの化粧品を使い専門的に仕事を始めたころは、雑誌などはオーガニック化粧品の特集などもってのほか。製品をのせてもらうにも大手化粧品ブランドがメインページを陣取り、目立たない場所にひっそりと掲載されているという、なんともむなしい時代でした。
ところが今はどうでしょう。
様々なメディアがこぞって特集し、一般コスメと同じように堂々とメインページを飾っています。 最近では大きな展示会などでセミナーを行うと、販売店や仲介業社が多く参加してくれるようになってきています。
でも、そんな風に時代が変わるにはわけがあったと思います。私は15年近く、このオーガニックのコスメ業界に携わっていますが、日本において、この業界の大きな転機になったのは、やはり、東日本大震災でした。震災により、日本人一人ひとりが、自分の身の回りに起きたことを見つめ直し、環境やからだのことを考えるようになったことです。
食の安全から始まり、最近では肌や体の健康について、それもかなり専門的なことを、自分でセルフケアとして学んでおくという方が増えています。。。それに伴い、様々な学びの場も増えています。その種類は様々で、主に一般の方が学んでいるのは、アロマテラピー、アーユルヴェーダ、植物療法、クレイテラピー、ホメオパシー、フラワーレメディなどでしょう。
そうした代替ケアは、身体だけではなく、心や気、霊性などを含めた心身の健康、要するにホリスティック、全体的な健康の視点から震災以後大きく注目されてきています。
そしてこれらは自然界の成分を活用することも多く、結果、オーガニック・ナチュラルの製品と結びつき、支持されていくことが増えています。まさにこれからの時代にオーガニック化粧品は私たちの健康と美に、選択していくべき一つのものなのかもしれません。
そして、もう一つ。
これからの時代にオーガニック化粧品が必要になる最大の理由があります。
化粧品で肌荒れをする女性たちが急増している
私自身も、もともとヘアメイクアップアーティストという職業柄、今まで多くの合成化学成分を使った化粧品を使ってきました。それこそ最先端ブランドのカラフルなメイクアップは撮影の世界ではなくてはならない存在でした。
ところが仕事を続けていくうちに様々なアレルギー反応を起こし、初めは接触性皮膚炎だったものが、慢性的に治らなくなり、鼻炎も発症。生活習慣の乱れも加わり、自律神経のバランスが乱れ、大人アトピー、そして化学物質過敏症へ。ちょうど20年前のことです。
その結果、私が導かれたのが天然の原料を使った化粧品でした。
それまでは皮膚科で扱う敏感肌用の化粧品なども散々試しました。
でも結局良くならず、自分自身の肌に合うオーガニック化粧品を見つけた途端、今までのつらい肌荒れがまるでうそのように回復していったことにとても驚きました。
ただ、そうしたアレルギー体質になってしまった根源は、本来はコスメだけではない別のところにもあるわけで、化粧品を変えただけですべてが解決するわけでもないのですが、あの時は本当に劇的に回復したことに、自然の力の素晴らしさを強く感じとり、そこから私はオーガニックの世界に入っていきました。
当時は、オーガニックの世界での、化粧品と肌との関係性の情報はほとんど見つけられず独学で学ぶしかありませんでした。また、あったとしても化粧品の危険な成分を責め立てるものばかりで、その情報が果たして正しいものなのか判断が難しいものばかりでした。
私に出来たことは多くのオーガニック化粧品ブランドを集めてきて、実際に使い、一般の化粧品と何が違うのか、メーカーにも取材に行きながら自分なりに情報を集めることでした。同時に日本で唯一のナチュラルコスメメイクアップアーティストとして活動を始めたのもそのころからです。
オーガニック化粧品を使ってメイクレッスンを開催するようになると、多くの女性たちから、「普通のメイク製品で肌荒れをする」、「スキンケアを使っても潤いを感じない」「何を使ってもかぶれてしまう」「皮膚科に行っても改善しない」と肌の不具合を訴える人がとても多いことに驚きました。
肌のトラブルは皮膚科に行っても、多くは薬を出されるだけの対処法がほとんどですね。皮膚科の先生が個人のカウンセリングを、時間をかけてじっくり行っているところは少ないでしょう。
薬で症状が治まっても一時的なもので、同じ生活スタイルが繰り返されればまた悪くなる。これでは繰り返すだけで根本治療には至らないのが現状です。。。そこで、肌トラブルを減らす解決方法をオーガニック分野の化粧品から提案することを推奨したのです。
すると、以前の私と同じように肌トラブルの改善がみられる人がどんどん出てきたのです。
オーガニック化粧品から見る皮膚トラブルを減らす解決法
私が経験した来た中で、一つだけ医者がアドバイスできないだろうという事があります。
それは個人が使う化粧品の選び方と使い方です。もちろん皮膚科医が作る化粧品も世の中にはたくさんありますが、それでもケアができないことがあるのです。そしてそのアドバイスは、一般化粧品とオーガニック化粧品の違いをスキンケアとメイクアップの分野で理解していなければできないことと、製品の成分構成と特徴が、ある程度読み取れる必要もあります。
又、最も必要なのはクライアントへの詳しいヒアリングで、普段個人がどういうケアをしているか、どんなものを使っているかで、肌に与える影響が変わりますから時間をかけて原因を見つけていく必要があるのです。
皮膚科では、一人の診察にかける時間は限られていますし、化粧品の知識もオーガニック分野を熟知している医者がほとんどいないという現状もあり、肌のトラブルを未然に防ぐアドバイスに至らず、薬だけの対処法に陥りやすくなるからなのです。
セルフケアのアドバイスができると、肌荒れで皮膚科に駆け込む人が減るのは確実であり、実際に私のアトリエに来るお客様の多くは、カウンセリングを重ねるたびに自分の肌と向き合うことが上手になり、一年を通して安定した健康肌を取り戻す人が増えています。
現在、個人の間違った化粧品の使い方によって肌トラブルを起こしてしまうカウンセリングのデータが1000件を超え、正しいスキンケアと化粧品選びをするためのメソッドがしっかりと出来上がりつつあります。
そのカウンセリングで見られる肌のトラブルの解決法の一つをここで挙げてみましょう。
カウンセリングで見られる肌トラブルの解決法
私のアトリエでは約40ブランド以上のオーガニック化粧品が試せるために、肌悩みを抱える人が多く訪れます。やはりオーガニックというだけで植物成分の素朴なイメージが先行してしまうせいか、なぜか肌に優しいという解釈になり、単純にオーガニックに変えればよくなると思っている人が多いようです。
実際は、多くのブランドの中からきちんと肌に合うものを探していかないといけませんので、ひとりひとりの個人と向き合い、まずは今まで使っていた化粧品でどんな風にスキンケアを行っていたのかを書き出してもらいます。そこから肌荒れの原因を、コスメの分野から探し出しだすお手伝いをしていきます。
ライフスタイルのお話も同時にヒアリングしながらカウンセリングを勧めていくと、面白いことに彼女たちが悩んでいる症状は、多くはトラブルになりうるものを自ら選び、間違ったケアをしていたことで肌荒れに導いてしまっていたことにたどり着いていきます。
―――
コスメカウンセリングには少々コツが必要です。
まずはクライアントの使っている化粧品の成分構成が一般化粧品かオーガニック化粧品か見分けられなければいけません。どんなブランドを使用しているのかしっかりとヒアリングすることが必要です。
そして化粧品で肌トラブルを起こしている人の一例をあげてみると。。。
例) 33歳 A子さん
肌トラブル ⇒ 乾燥、ニキビ、毛穴のつまり、赤み、肌のごわつき、くすみ
使用化粧品
朝のケア |
夜のケア |
石鹸洗顔 オーガニックのとろみのある化粧水 オーガニックのアルガンオイル 市販のファンデーション |
オーガニックのミルククレンジング オーガニックのとろみのある化粧水 オーガニックのアルガンオイル |
一見すると、シンプルケアで良さそうにみられるケアですが、肌悩みの原因となる要素がここにふんだんに隠れています。
解読してみましょう。
この方の肌悩みにはこんな原因と結果が隠されています。
- 一般の落ちにくいファンデーションは最近はフッ素加工したシリコーンオイルなど被膜力の強力なものが使われていることもあります。こうしたものはオーガニックコスメのクレンジングでは落ちないものが多く、毛穴のつまりが生じます。またクレンジングが不十分であると不要な角質が肌に残り、肌のごわつきやくすみにつながっていきます。オーガニック化粧品のファンデーションではこうした現象はなくなります。
- 化粧水のとろみの強いタイプのものは、ほんの少し使用するだけで満足感が出てしまうので、実際は化粧水の肝心な成分「水」を肌に取り込めていないことが多いようです。その為A子さんの肌のトラブルのすべてにつながっています。
- 不要な角質が取れていないこと、毛穴のつまりなどで十分にオイルケアの油分を肌の角質層に届けることができないようです。
- 乾燥しているのに、朝の石鹸洗顔で常在菌を育てることを損なってしまっています。
そのため肌はアルカリに傾き、乾燥や赤みにつながっています。
実は、これ以外にもまだまだ原因が隠されています。
また、毛穴のつまりやシミが多い人は実際に間の前で、クレンジングを実勢してもらうこともあります。それは、スキンケアは性格でも変わるからです。
例えば肝斑がうっすらと出ている人に目の前でクレンジングしているのを見ていると、クレンジングをなじませる際に肌を勢いよく擦り、スポンジで強くこすり取っています。
これは摩擦でシミを濃くしていると考えられます。
反対に毛穴が詰まっている人のクレンジングを見ると、今度は摩擦が怖くて適度なふき取りもできず、肌に汚れや角質を残したままにしています。
クレンジングの製品がどんなに良いものであっても、これではきちんとしたケアができません。このようにすべてのスキンケアアイテムで見直しが必要なところが無いかチェックしオーガニック化粧品の中で代用できそうな製品を絞っていきます。
こうしたところまでの指導は皮膚科では難しく、マンツーマンでの丁寧な指導により、個人の正しいスキンケアが完成します。時間はかかりますが、以後、自分の肌と会話をしながらケアをすることができるようになり、季節の変化でもトラブルが少ない安定した肌に変えていくことができるのだと思います。
今は様々な効果を持たせた万能化粧品が生まれていますが、その反面、アレルギーやかぶれを起こす人が増えており、オーガニック化粧品は製品の選択と保湿のバランスをうまく組み合わせれば、決して大げさではない、その人の人生も変えてしまうほどの効力が出せると考えています。
これからのスキンケアは、皮膚科に飛び込む前に、自分のためのセルフケアを、オーガニックの分野から発信できると確信しています。
(執筆・小松先生)
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